伊勢神宮式年遷宮 御神木祭

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第61回式年遷宮 御杣始祭

御神木祭とは

伊勢神宮では、20年に一度隣の敷地に新しい社殿が造られ、御神体が遷される「遷宮」と呼ばれる神事が執り行われます。この神事はおよそ1300年前の、第41代持統天皇の時代から始まり、現在まで絶えることなく継承されています。新社殿の御造営用材は早くから準備が進められます。これら御造営用材の中でも、特に重要な御神体をお納めする「御樋代(みひしろ)」と呼ばれる器には、木曽ヒノキが使われています。この用材は「御神木」と称され、木曽谷ではこの木を伐採する際に、古式ゆかしく「御杣始祭(みそまはじめさい)」という儀式が執り行なわれてきました。

御杣始祭では、斧のみを用いる「三ツ紐伐り(みつひもぎり)」という伝承技術で巨木の木曽ヒノキ2本(内宮御料木・外宮御料木)を伐倒します。それぞれ2本の大樹は、先端で交差するように倒すのが習わしです。

前回の第62回の伐採は平成17年6月3日に実施され、今回は令和7年6月に予定されています。伐採された御神木は木曽川に沿って奉曳(ほうえい)され、留め置かれる地域では神事や祭礼が催されます。木曽から搬出された御神木は、桑名で岐阜県側の御神木と合流。やがて伊勢神宮へと搬入されます。御杣山の神事、御神木伐採、社殿の建立など、遷宮のすべての神事が完了するまで、実に8年に及びます。

御杣始祭(みそまはじめさい)

伊勢神宮の遷宮諸祭において、山口祭(やまぐちさい)、木本祭(このもとさい)に続く3番目の祭事として執り行われます。内宮・外宮のご神体を納める「御樋代(みひしろ)」の御料木となるヒノキを伐採しますが、斜面の向きや地形、御用材の材質、伐採方法など、古式ゆかしい習わしに則って執り行われる決まりがあります。
写真の風景は、平成17年6月3日、第62回式年遷宮の御杣始祭の模様です。御樋代木は、御神木(ごしんぼく)とも呼称されます。

御神木祭(ごしんぼくさい)

伐採された御樋代木は、本来ならそのまま伊勢へ向かいますが、地元の奉賛会が中心になってお送りする奉曳(ほうえい)行事を、御神木祭と呼びます。これは式年遷宮の正式な催事ではありませんが、地元から御神木が産出される喜びと誇りを込めて盛大に祝います。
第62回式年遷宮では、伐採の翌日に御木曳きが、またその翌日に芸能祭が行われ、伐採から4日目の朝に伊勢に向って御神木が出発しました。

御船代祭(みふなしろさい)

御神体を納めた御樋代は、さらに「御船代(みふなしろ)」という器に納められます。この御料材を伐採するための祭事が御船代祭で、第62回式年遷宮では、平成17年秋に上松町・大桑村堺の国有林内で伐採されました。木曽で伐採されたのが内宮の御用材で、この数日後、付知渓谷の地域でも外宮の御用材が伐採されています。

仮御樋代木伐採式(かりみひしろぎばっさいしき)

遷宮のクライマックス、古い社殿から新しい社殿に、御神体がお遷りになりますが、その際に御神体をお納めする仮御樋代(かりみひしろ)の御料材を伐採する行事です。
この仮御樋代木伐採式をもって、木曽での御用材伐採の祭事が完了しました。

新しい社殿は平成25年に完成し、10月2日に内宮の遷宮が、10月5日に外宮の遷宮が挙行されました。いずれも夜の清らかな闇の中、絹の幕に包まれて、厳かに御神体がお遷りになりました。